活動報告

八戸大学NPO研究会設立式にて活動報告をする
※今回は、Be-labo活動報告の様子を、
 中野の心情を中心に描いた、ドキュメンタリータッチでお送りする。


11月22日(金)

その命を受けたのは中野。
人一倍、人前に立つのが苦手である。
ましてや正装で、ずらりと並んだ人々の前で話すなどというのは
生まれて初めての経験。
しかもその日は、先日、舌の裏の血豆をつぶした跡がチクチクと痛んでいたのだ。
「いきしちに・・・」が言えないような始末である。
舞台もコンディションも、最悪の状況だ。

だが、一度引き受けてしまったのだからやるしかない。
とりあえずは資料として、
大学研究所のパソコンでPowerPointを用いてスライドを作成した。
その数、36枚。
学生発表の持ち時間は10分であるから、話しきれるかどうかが勝負。
ラジオの時のような沈黙や言い間違えは
式の進行予定時間を遅らせる事になり、
後の発表者や主催者に迷惑をかけることになる。
できるだけ、それらはしないようにしなければならない。
というよりも、ラジオ番組に携わっている以上、
そういったことは許されない。
聞く側は、そう思っていたことだろう。
プレッシャーが重くのしかかる。

印刷した資料を持って本番に備える。
スライドは、ただスクリーンに映してその説明文を読むだけではつまらない。
自分なりにコメントをつけ、
プレゼン中は臨機応変にアドリブも付け加えるべきだ。
そう考え、資料に赤ペンで
話す流れやコメントを付け加え、いざ舞台となる会場へ。

会場
午後4時、いよいよ八戸大学NPO研究会設立式が始まる。

ぞろぞろと、たくさんの来場者が現れ、
席に着くなり、机の上の資料に目を通しはじめる。
雑談はほとんど無く、空気は軽くはない。

列の最後尾のイスに座り、出番を待つ中野。
午後4時を少し回った頃、ついに式は始まった。

学長講演
八戸大学学長の記念講演。来場者は真剣に耳を傾ける。

学長が話している間、中野は迷っていた。
『明るく行くか、落ち着いた感じで行くか・・・』
学生発表では、一番手である。
出来ることなら、講壇を右往左往、自由に歩き回りながら話をし、
アドリブも織り交ぜながら、笑い声の起こるような楽しいプレゼンをしたい。
しかし、それが自分に出来るのだろうか。
そんな事をして、場の雰囲気を壊してしまわないだろうか。
今の会場は、そんな空気ではない(ように思えた)。

考えているうちに講演は終わり、5分間の休憩に入った。
休憩後は、いよいよ出番である。

緊張
壇上で、来場者の顔を眺めてその時を待つ。

休憩中も、雑談のようなものはあまり交わされない。
少々ざわつく程度。
中野の後に発表するであろう、学生の視線が突き刺さる。
『こいつはどんな発表をするのだろう。』
そんなことを思っているのかもしれない。

迷っている時間はもう無い。
会場を一通り眺め、中野は思った。
『一度きりの事だ。やりたい事をやってしまおう。』
その瞬間、心は決まった。

司会者に紹介され、全員の視線がこちらを向く。
中野は右手にマイクを持ち、第一声を放った。
「みなさん、こんにちは!」
ラジオの時と一緒、友達と会話をしている時のトーンである。
それに続けてスライドの説明文を読み上げながら、コメントを付け加えていく。

スピーチ
大きな声で話しながらパソコンでスライドを次々に送る。
スクリーンを見ながら、コメントやアドリブで所見を述べる。


プレゼンは順調に進んだ。
何度も資料に目を通し、予習をしていただけの事はあった。
スライドはテンポよく展開し、コメントもスラスラと出てくる。

スライド
公開生放送番組『七夕に「まち」の夢を語ろう』を手掛けた事の報告。
Be-laboの誕生とこれまでの活動、ラジオ番組の紹介もした。


Be-labo誕生の経緯から今後の課題まで、
過去を振り返りながら、出来るだけ自然体に、思い出すようにしながら
初収録の苦労話や取り扱ったテーマなどを、来場者に話していく。
時には少しの笑い声もあがり、さらに滑らかに言葉が出てくるようになる。

熱弁
パソコンを使わなければならない事もあり、
壇上を歩く事は、さすがにしなかった。


最後には、自分たちがしてきた事、学んだ事を生かした番組づくりを目指す、
などという事を述べて、しっかりと番組の宣伝をして終了。

「ありがとうございました。」
そしてプレゼンは終わった。
最後のほうでは、マイクを放すのが嫌だ、と思うほど熱中しており、
また同時に、リラックスして話せてもいた。

時間を気にしていた事もあって、かなり早口で一気にまくしたてた、
という印象もあるが、言いたい事は全て言えた。
席に戻り、大きく息を吐き出す。
「やりたい事を、やれるだけやった。大成功だ。」


Be-labo活動報告は、こうして幕を閉じた。
舞台では、学生発表がどんどんと進行している。
来場者は、すでにBe-laboの頭文字すら思い出せなくなっていたかもしれない。
しかし、Be-laboの今後の展開を広げていくために、
今回の発表は重要な意味を成す事になるのかもしれない。
また機会があればぜひ、こういった活動もしてみたいものである。


<後日談>
中野は、壇上では忘れていた口の中の痛みが再発し、
しゃべれない、食べられないという悶々とした日々を過ごし、
挙げ句の果てには病院に行った。


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